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東京工業大学博物館(百年記念館)の概要

 「東工大らしさ」を集約し,学内外へ発信する拠点となる東京工業大学博物館が2011(平成23)年4月1日に誕生しました。博物館は,東工大で生み出された教育と研究の歴史的成果,現在進行している様々な先端研究や社会への応用実績,本学卒業生の社会における成果等を収集・調査・保存・研究及び伝承することにより,社会に向けて広く発信することを目的として活動しています。博物館の設立に伴い博物館相当施設としての指定を受けた,大岡山キャンパスの百年記念館とすずかけ台キャンパスのフロンティア創造共同研究センター棟1階にある展示室では,実体としての成果物を通じて東工大を感じて頂けると思います。さらに,参加者の方々が,研究者や学生と共通のテーマについて一緒に話し合いできるようなサイエンスカフェや特別展示などの企画を開催しています。これら活動は,博物館設立の源となった百年記念館における活動コンセプトに支えられ,引き継がれているものです。

百年記念館について
 東京工業大学百年記念館は,本学が創立100周年を迎えた1981(昭和56)年,「東京工業大学創立百年記念事業」の一環として計画され,1987年11月の開館以来,本学におけるミュージアム機能としての中心的な役割を果たしてきました。創立百年記念事業に当たっては,本学の同窓会である社団法人蔵前工業会を母体とする募金会(土光敏夫会長)が結成され,卒業生や関係の諸会社から寄せられた基金によってその計画が進められました。以下は,当時の募金趣意書に記された記念館設立の目的(抜粋)です。

「東京工業大学百年の歴史は,正にわが国工業の発展を支えた科学・技術の教育・研究の歴史そのものであり,(中略)その教育・研究に用いられた貴重な器材や文書・記録が数多く集積されています。これを体系的に整理し展示することは,たんに東京工業大学にとってだけでなく我が国全体の科学・技術の教育・研究の発展のため先人の果たした業績を明確にする意義をもつものであり,更にこれを踏まえて今後の一層の発展を図るための貴重な礎石となると考えます。
 そこでこの記念すべき創立百年の時期に当たり,正に『科学・技術の教育・研究百年』の業績の展示・保存を中心とする『百年記念館』を建設し,そこに現在における科学・技術の最先端の所産をも併せて展示して,東京工業大学の遠き将来に向けての一層の発展のための一大モニュメントとする計画であります。」(東京工業大学創立百年記念事業資金募金趣意書より)

 上記の趣意書にあるように,百年記念館は「科学・技術に関わる業績の保存と展示」を中心とした博物館的な建物としてその計画がスタートしました。百年記念館専門委員会(委員長平井聖教授)は,その具体像に対して「人からの伝承」と「物からの伝承」という2本の柱を核とするコンセプトを設定しています。つまり,先端の科学技術に取り組む態度や係わり方について,実社会にて様々な役割を果たされている先輩方と直接対話して学ぶこと〈人からの伝承〉と,創出された技術や研究成果にある背景を具体的資料を通じ学ぶこと〈物からの伝承〉ができる場の実現が目的でした。このコンセプトをもって百年記念館が誕生し,博物館へと繋がる今日までの運営の礎となりました。

 建物の意匠設計には篠原一男教授が当たり,1986年10月着工,1年後の1987年9月に竣工しました。その後,竣工披露式典,募金会より東京工業大学への建物の寄附を経て,同年11月に開館を迎えました。また,展示に関しては百年記念館専門委員会の中に展示部会(主査道家達將教授)が設けられ,学内よりの収蔵品の収集,展示計画が作成され,同11月16日からは開館記念特別展示が開催されています。

 百年記念館の開館以後, 20年余りの間には,地階収蔵庫の改装による特別展示室の拡張や,2階の中小会議室の展示室化などが実施され,また特定のテーマに基づく企画展示会(特別展示)が年数回開催されるなど,博物館としての機能・活動の充実が図られてきました。そして,博物館となった今日では,近接する東工大蔵前会館(TTF)や2011年7月にオープンした新図書館と共に,〈人〉や〈物〉からの伝承・交流が日常的に行われる,本学ならびに地域における文化・科学技術に関する学術交流の中心拠点となっています。